Part3 ペルー

また、生物兵器は貧者の兵器とも言われています。それは、核兵器と比べて、格段に安くつくれるからです。小さな実験室で、極端なところ、一人でもつくれます。僕だってつくろうと思えば、つくれそうです。ただ、そのウイルスなり、細菌に対して、つくった本人に免疫がなければ、本人もやられてしまいます。そこが難しいところですが、おそらくアメリカを筆頭にし、中国、ロシア、それにパキスタン、インド、あたりでは極秘に研究が進められているでしょう。
地球上から天然痘は撲滅されましたが、そのウイルスは地上から消えたわけではないのです。なぜなら、アメリカとロシアの研究所に保管されているからです。彼らがちょいと遺伝子操作を行えば、種痘によりすでに免疫を獲得した人たちさえ簡単に殺戮する新型天然痘ウイルスをつくることは簡単です。ソ連の消滅で、米ソの対立はなくなり、お互いが戦争をしかけることはなくなったのですが、アメリカと中国の戦争はおこりえます。そのため、中国もひょっとすると秘密裏に天然痘ウイルスを隠しもっているかもしれません。まったくもって、僕たちは恐ろしい世界に住んでいるわけです。
しかし、ここで少し話が飛びますが、もっと恐ろしいことを少々。今年(2010年)5月21日の多くの朝刊で次の記事が掲載されています。

『合成ゲノムで生きた細菌 米チーム作製成功、「人工生命」近づく技術』
【ワシントン=共同】人工的に合成した細菌のゲノム(全遺伝情報)を別の細菌の細胞に組み込み、生きた細菌を作ることに成功したと、米国のクレイグ・ベンター博士が率いる研究チームが20日付の米科学誌サイエンス(電子版)に発表した。

 ウイルスを人工的に作った例はあるが、ゲノムがより複雑な細菌での成功は世界初という。細胞膜や細胞内の物質は人工合成していないため完全な「人工生命」ではないが、その実現に近づく画期的技術といえる。チームは今後、バイオ燃料を製造したり、有害物質を分解したりする有用な微生物作製を試みたいとしている。
ただ、人工的な生物を環境中で利用した場合、ほかの生物や自然環境にどのような影響を与えるのか未解明な点が多い。生物兵器開発に利用される恐れも指摘され、規制を求める声も強まりそうだ。

 作製したのは、遺伝情報として約100万個の塩基対を持つ「マイコプラズマ・ミコイデス」という細菌とほぼ同じゲノムを持つ細胞。
チームは、ミコイデスのゲノムの設計図を基に1000塩基対程度の短い情報を持ったDNAの断片を化学的に合成。さらに、DNA断片を大腸菌や酵母菌に組み込んでつなぎ合わせ、完全なゲノムを合成した。次に「マイコプラズマ・カプリコルム」という別の細菌を特殊な液体に入れて本来のゲノムを失わせ、そこに合成ゲノムを移植。カプリコルムの細胞内で合成ゲノムが働き始め、細胞の自己複製が始まった。』

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