Part3 ペルー
そうなると、ETが次に考えるのは、生物が発生しそうな星々に、いつかは滅びるかもしれない自分たちの超文明のエッセンスを送ることでしょう。これは、もはやプレゼントというより、文明の伝播か、移植といったほうが適切かもしれません。そして、運がよければ、数億年の進化の結果、知的生物が現れ、超文明の成果を引き継ぐことになります。
それには極めて大量の情報を送らねばなりません。そして、肝心なことは、それを理解しうる知力をもつ生物の登場が必要なのです。「大量の情報」、それに「高度な知性をもった生物」。この二つを考え合わせると、人類の脳神経の配線構造そのものに、あるいは複雑な脳を生むDNAに情報を組み込むことが最適だという結論になります。
おそらく地球上にはDNAよりも先にRNAができたはずです。そして、相補的にDNAができ、生物が発生します。ただ、水素、酸素、炭素、窒素から、RNAが自然に発生する確率は非常に低く、かつ、DNAが知能をもった生物をつくれるまで進化する可能性はそれ以上に低いはずです。何らかの、人為的な、(この場合はET為的となるでしょうか)、介入が必要です。それをETは遠い星から行ったのかもしれません。これを言い換えれば、生命は、特に知性をもつ人類はETの遠隔操作によって生まれたということになりはしないでしょうか。どういう方法かは、現代の人類の知識をはるかに超え、理解できません。
1000万年栄えた超文明をもつETが、何らかの理由で滅亡の危機に面したときに、自分たちのDNAと文明を生き残らせようとする場合、こういう振る舞いをするだろうと予測するのは、それほど荒唐無稽だとは思われません。オックスフォード大学の動物学者リチャーヂ・ドーキンスがいうように、生命とはDNAのヴィークル(乗り物)に過ぎないとも言えるわけですから。つまり、ETでさえ、DNAのヴィークルなのですから、それを増やすことが、ETにとっても至上命令です。
こういうふうに考えていくと、ETからの贈り物は、すでに僕たちの体のなかに、暗号として組み込まれていることになります。特に脳を生み出すDNA、あるいは脳の構造そのもの、あるいは言語。そういったものに、知的生物が受け継ぐべき文明のエッセンスが書き込まれているとすると、すでに私たちは宝の山を持ち歩いていることになります。
ヒトの染色体は22本の常染色体と1本の性染色体からなります。各々の染色体は1本のDNAからできています。なぜ、常染色体が10本でもなく、29本でもなく、22本である必然性はだれもわかっていません。そして、22本、すべて形が違います。大きいほうから、番号をつけていきます。ひょっとすると、ETは1番目の染色体には、ET自身に関する情報、2番目の染色体には人類の起源に関する情報、3番目の染色体には言語に関する情報、4番目の染色体には医学に関する情報、ーーー、というように、知的生物が解読しやすいように便宜をはかったのかもしれません。こういう観点から、いまだ、だれも染色体を解読しようと試みた人はいないはずです。だれか、想像力豊かな人が行ってほしいと思うのですが。
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