Part1 まずはサンフランシスコへ
自分は、琉球大学の農学部に留学して、「Professor Tawata」の指導のもとで、この論文を書いた。現在はエジプトのTanta大学の助教授をしている。月桃に関することなら、Professor Tawataが一番よく知っておられる。彼にきくのがベストである。
というようなわけで、琉球大学農学部の多和田教授に連絡をとり、表敬訪問をしたのです。それは去年の10月ころのことでした。中肉中背の、引き締まったボディーと浅黒い顔した精悍な先生です。あとでわかったのですが、空手六段というすご腕なんです。しかも、普通の空手ではなく、沖縄空手の「本部御殿流」(モトブウドゥン流と呼びます)というヌンチャクまで使うめっぽう強い空手です。今回、この先生とのご縁で、いっしょにサンフランシスコまでやって来たわけなのですが、こういう空手六段の先生といっしょなら、暴力の多いアメリカでも安心です。しかし、今回は、ヌンチャクはもってこられていませんでした。「世界格闘技大会」に出席するんではなく、知的な「アメリカ化学学会」に出席なさるわけですから。 農薬がご専門だそうですが、月桃も20年以上研究なさっておられる。世界中に月桃は300種類以上あるが、何でもきいてくださいよということです。くだらん質問も含めた集中砲火を浴びせても、よどみなく、明快に答えられる。さすが、ウルトラ専門家です。さっそく、僭越ではありますが、僕のクリニックと共同研究を行ってもらうことにしました。
これは、双方にとっていいことなんです。農学部では、主に基礎となる化学を追求します。たとえば、月桃に含まれるAという物質の構造式はどんなもので、化学的にどんな作用があるのか。しかし、それが害虫にとってどんな影響を及ぼすかは研究しても、人体に応用することはありません。また、生物実験もせいぜいネズミまでです。いったい、人体に投与したときにどんな効果をもたらすかなど、農学部では行わない。行わないというよりも、行えない。つまり、医学部と組む以外に、行えません。しかも、特に日本の大学は、他の学部との連携が実に悪い。事実上、農学部と医学部の共同研究などめったにありえません。しかし、僕のクリニックと組めば、実際に患者さんにつかってもらえます。また、僕のクリニックとしては、琉球大学農学部という、国立大学の権威を与えてもらえます。
現在の多和田教授の月桃に関する研究は、ウイルスと月桃の成分です。
月桃のサプリメントを摂ると、長年再発を繰り返していたヘルペスが治ります。またインフルエンザにも非常にかかりにくくなります。免疫の力が強くなるためなのかと漠然と解釈していたのですが、ヘルペスウイルスの増殖自体も、阻害されるのです。ヘルペスウイルスやインフルエンザウイルスのある種の酵素が月桃により阻害されるために、ウイルスが増殖できなくなるのです。
また、特に、クロロゲン酸、エピカテキン、ケルセチン、ケンフェロール、フェルラ酸などがずば抜けて多く含まれています。それら数多くの成分が、各種のウイルス病に効果を示します。
「月桃は沖縄で昔からお茶として飲まれていたくらいですから、副作用はまったくありません。つまり、副作用なく、かつ安価に、ウイルスによるさまざまな発病を防ぐことができるのです。3月にサンフランシスコでアメリカ化学学会がありますので、そこで発表するつもりです」、としごく穏やかな声でいわれる。しかし、本来、こんなエキサイティングな発見は、穏やかな声でいわれるべきものではありません。
そして、いつもセンセーショナルなネタを探している新聞社やテレビ屋がわんさとおしかけ、一大スクープになりそうなものですが、世間はアホに満ち溢れているのか、日本最南端の小さな大学の農学部の研究なんぞには目もくれません。京都大学のiPS細胞にしか、目がいかない。iPS細胞はたしかにすごい。しかし、実現化にはまだだいぶ時間がかかる。しかし、月桃は今すぐにでもウイルスによる多くの病気を治せる。たとえ、治せないにしても、予防にはなる。日本のジャーナリズムはそういうことを見出せない。このバカたれども! ワシが月桃を世界的に有名にしたるわい、ということで、サンフランシスコの学会にまでお供することになったのです。
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