今年(2018年)5月28日、29日に、北京で国際的な総合科学誌Nature主催のカンファレンスが開かれました。会議の主題は「Countering Antimicrobial Resistance」、つまり、抗生物質に抵抗を示す細菌の出現にいかに対抗するかということでした。このテーマで世界中の20人ほどの研究者たちが講演しました。

北京は日本から近く、しかも5月28日、29日あたりは、これといった予定が入っていなかったので、さっそく参加することにしました。ついでに、昨年ネパールで行ったタレジュのオイルを使った簡単な治験のポスター発表も行いました。結核患者10人とCOPD(慢性閉塞性肺疾患)患者2人に、一カ月間、ネブライザーでタレジュのオイルを吸入してもらった結果です。全員非常に改善しました。ただ、コントロール群もない、きわめて小人数の治験ですので、学会に発表するほどの価値はありません。もっと大きな規模で行うための、準備的な治験です。

偶然にも、一つとんでとなりのポスター発表は、2015年、大村智先生、ウイリアム・キャンベル先生と共に、ノーベル生理学・医学賞を受賞された屠 呦呦(と・ゆうゆう)先生の発表です。中国の伝統医学の手法から、マラリアの特効薬を発見された功績によります。屠 教授はすでに引退されていて、会場にはおられず、部下の助教授である沈建英先生が、ポスターの前に立っておられました。(写真の赤い服の女性)。

私は学生さんだろうと思っていたのですが、助教授でした! 沈建英先生はタレジュのオイルに非常に興味をもたれたので一つお分けしました。あとで、自分のラボで、黄色ブドウ球菌に対するタレジュのオイルとストレプトマイシンの効果をシャーレで比較されて、結果を報告して下さいました。何と、タレジュのオイルの方がストレプトマイシンより効果が優れていたのです!

 

  著作権に関する表示:当ウェブサイト内のすべてのコンテンツ(記事/画像等)の無断転載及び無断転用(コンテンツを無断流用した改変の掲載も含む)は固くお断り致します。