Part1 まずはサンフランシスコへ
と、いうようなわけで、「油 このおいしくて不安なもの– 崩れたリノール酸神話 油とつきあう健康法」なる名著を再読し始めたのですが、すぐに夕食です。スチュワーデスが「牧瀬様、お飲み物はどうなさいますか?」とききます。ビジネスクラスでは、いちいち乗客の名前をスチュワーデスは、覚えているようなのです。
アルコール類がまったく飲めない僕は、緑茶を注文しました。しかし、ここで、酒好きの人たちのために、どんなものが9時間半、飲み放題か書いておきましょう。
シャンペン(シャンパーニュ・ピペ・エドシェック)、白ワイン(アベイ・フォントネ2006・レ・トゥルイット マコン・ヴィラージュ、ロバート・ペピ ピノ・グリージョ2007 カリフォルニア)、赤ワイン(ミゲル・トーレス ネローラ2005、ブルー・ムーン・ワインズ・シルバーピーク・ジンファンデル2005、ルイ・ジャド ブルゴーニュ・ルージュ クヴァン・デ・ジャコバン2007)、ウイスキー(サントリー・白州 12年、サントリー山崎 12年、シーバス・リーガル、ジャック・ダニエル・ブラック)、バブランディ&リキュール(コニャック・レミーマルタン V.S.O.P、コアントロー、ベイリーズアイリッシュクリーム)etc.
ビジネスクラスでこれくらいですから、ファーストクラスではどんなものなんでしょうか? もっとも、僕にとっては何の意味もないのですが。 次はいよいよ食事です。詳しい内容が書かれたメニューがあらかじめ配られていますから、それを見て、和食にします。さらに和食でも、「ぼたん鍋」と「寒ぶり味噌柚庵焼」の二つの選択肢があります。「ぼたん鍋」とは、いのししの肉のはずです。肉食は基本的には避けていますが、ここのところ20年あまり、いのししの肉など高級料理(だと思います)は食べていませんので、それが機内食で食べられるというのですから、すかさず「ぼたん鍋」と注文してしまいます。
まず前菜にあたる、小鉢の八つの肴『旬味彩菜』がでてきます。京都「芽生会」とメニューには書かれています。何の会かよくわかりませんので、Google で調べてみると、京都の料理屋に生まれた若旦那の集まりで、「めばえかい」と読むそうです。さぞかし料理に小うるさい人たちの集まりなんでしょう。そういう人たちが薀蓄を傾けてつくった献立だとJALはいいたいのです。しかし、金がかかるでしょうなぁー。そんなところに金をかけるために、倒産するんでしょうと、余計なことまで考えてしまいます。
- 小鯛小袖寿司 赤大根巻、編み笠柚子
- 平目 そぎ造り
- 海海老、金時豆、蛸の焚き合わせ
- 蟹奉書巻 土佐酢ゼリー掛け
- 鰻八幡巻、白魚東寺巻、海老
- 貝柱、烏賊、海老の鉄砲和え
- 鯛の求肥巻、金柑蜜煮、チシャトウ味噌漬と黒豆
- 牛肉葱巻
- (写真は、帰りの飛行機ででた八つの小鉢です)。
ここで、わざわざ、八つの小鉢の内容を書いたのは、それなりのわけがあります。それは、大げさないい方かもしれませんが、この小さく、こじんまりとまとまった、繊細で多彩な内容は日本文化そのものなんです。アメリカの食事には、絶対にあり得ない内容と形式なんです。
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