日本語には、”皮膚”と”肌” と二つの字があります。英語では”Skin”、ドイツ語では”Haut”の一語しかありません。もっとも、 “Epithelium”や”Epidermis”といった医学用語はありますが、一般的ではありません。”肌”は解剖学的意味だけでなく、もっと広い意味をもっています。 たとえば、「あの人とは肌が合わない」、「彼女とは肌が合う」、という表現はありますが、「あの人とは皮膚が合わない」、「彼女とは皮膚が合う」といった表現はできません。
これは、ヒトも魚と同じように、非常に弱いボルテージの電場を身体の周りにつくっていると考えれば、この表現は物理学的に根拠のあるものとして、納得がいきます。 日本人は”肌”という言葉に、物理学的な”場”の概念も与えたのです。つまり、彼の周りにある電場の電磁波と、私の周りにある電磁波とは、うまく干渉できないということになります。 私たちヒトも、肌の上を流れる電流を繊細に感じとっており、意識せずに同種間の交信を行っているのです。 おそらく、きめの細かい肌をもつ日本人は、それを本能的に感じとっていたので、このような言葉の使い分けが可能となったのでしょう。 (話は少し逸れますが、アトピー性皮膚炎が特に日本人に多いというのも、何かその辺に原因があるのかもしれません。)
英語で”肌が合う”に最も近い表現は、”on the same wavelength as ~”です。”He is on the same wavelength as her.” 彼は彼女と波長が合う。 “He is on a different wavelength as her.” 彼は彼女とは波長が合わない。同じ波長か、異なった波長にあるというのです。 “肌”という言葉を使わず、もっと物理そのものの”波長”という言葉で、同じ意味合いを表現します。
いずれにせよ、ヒトはオーラのように体を包む、一種の電場を敏感に感知しているのです。
温泉の治癒力は、単に体を温めて血流を良くするだけではないのです。肌の周りにできている電場も、巧みに調整し、より豊かな「共生」の場にしてくれるのです。 子宝に恵まれない夫婦は、昔からよくどこそこの名湯にでかけたものです。 湯池により子宮が温まり妊娠できやすい体になることはもとより、妻と夫の肌の電場の違いによって和合がうまくいかなかったのが、岩の湯のイオンによって同じ電場になり、 身も心も一体になれるせいもあるのです。