Part3 ペルー

翌日28日、サチャインチオイルをつくっている会社Agroindustrias Amazónicasに見学に行きます。モトカーで、パタパタとゆられ、約30分の郊外にあります。日曜であるにもかかわらず、僕たちのために社長、 José Anaya Yábarさんが待っていました。 年のころ50~60歳、身長180cmほど、先住民の血が1/4、スペイン人の血が3/4といったところでしょうか。

本社はリマにあり、ふつうはリマに住んでいるのですが、フランスから圧搾機械の技師が来ていたので、そこに来ていたようです。

まず、サチャインチオイルはフランスで有名になったのです。フランス、イタリア、スペイン、ギリシア、チュニジアといった地中海沿岸の国は、オリーブオイルで代表されるように、食用油を非常によく使います。

この会社のサチャインチオイルは商品名をInca Inchiといい、2004年6月にパリで開かれた世界食用油コテンスト(World Edible Oils competition)で金メダルを受賞しています。それで、一気に世に知られるようになったのです。

しかし、もともとタラポトの先住民ラマ族が栽培して、日々、使っていた油です。プレ・インカ時代の発掘物には、サチャインチの菱形の実の形をした器があるそうです。

サチャインチは高さ2メートルほどの多年草のつる性植物で、学名はプルケネチアボルビリス(Plukenetia volubilis)、通称、インカピーナッツ、サチャピーナッツ、森のピーナッツ、マウンテンピーナッツ、とも呼ばれています。

ピーナッツという名前が示すように、油はピーナッツに似た風味があり、あっさりとしてなかなか美味しいものです。アンデス山脈の麓から発するアマゾン上流域で主に栽培されています。雌雄同体で、二つの雌蕊が、一つの雄蕊を囲んでいます。生育が早く、植えられてから5カ月で花を咲かせ、その後3カ月で、写真のような直径約3~5cmほどの実をつけます。やがて、熟すると黒褐色に変わります。そして、75年間にもわたって実を収穫できるのです。

その種子から素晴らしい油がとれるのです。オメガ3系統の不飽和脂肪酸の比率が際立って高く、48.6%もあるのです(最近は59%も含有する新種が見つかっています)。しかし、特徴はこれだけでないのです。ビタミンEのうちγ-トコフェノールの含有率も際立って高いのです。したがって、酸化されにくいのです。また、油をしぼったあとの粕には、良質のタンパク質が多く含まれ、老人食、小学校の給食用にも使えそうです。

 

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