しかし、まだまだ、アマゾンの自然を活用したビジネスが存在します。それは、カブトムシやチョウです。体長15~20センチもあるヘラクレスと呼ばれるカブトムシや、見た目も鮮やかな色のチョウです。マニアに非常に高く売れるのです。ヘラクレスは1匹、大きいものになると100万円はします。しかし、これは自然保護のためにかってに採集してはいけません。人工的に繁殖させなければならないのです。
そして、日本に輸出するには、CITESという絶滅に瀕している動植物の国際取引に関する条約をクリアーしなければいけません。それなりの免許が必要なのです。その免許を受ければ、そういう商売はできます。
では、なぜそういうビジネスをなさらないのかと東江さんにきくと、一生イキトスに住む気にはなれませんよと言われる。ごもっともです。スペイン風のリマと比べれば、100年前の面影が残る、どこかすすけて、薄汚れた感じのスパニッシュ・コロニアル風の町には、一生は住みたくないというお気持ちは、僕もよく理解できます。清潔感がないのです。
僕が知っている南米の地方都市は、メキシコのティファーナ、グアダハラ、エクアドルのグアヤキル、ペルーのイキトス、タラポトだけです。これらわずかな見聞で、一般化することを許していただくとすると、各国の首都ではない、これら南米の地方の町に共通するのは、若き情熱に満ちたカルメンの華やかさではなく、わずかばかりの年金を頼りに人生の最後を生きる、歯さえ欠けた老醜のカルメンが持つ、うらびれた哀愁です。
エクアドルの首都、キトは世界文化遺産に指定されるほど美しい街並みです。メキシコ・シティは決して美しいとは言えませんが、活気に満ちています。サンパウロもしかり。リマもまぁ許せるほどそこそこに美しい。しかし、南米の地方都市の、うらびれた不潔感はいただけません。